禅寺の周りには、仏陀が初めて説法した場所を記念して建てられた鹿ろく野や園えん、樹木がたくさん植えられている華林園、仏像がよく見られる菩提公園、及び中台山博物館のそばにある蓮華池などの庭園があります。これらの庭園には数百種類以上の海抜や緯度などが異なる植物も生息しており、空に聳える青緑色の木々が盛んに茂っています。随所に「一花に一世界があり、一葉に一如來がある」という禅の妙意を会得することができます。
ここで鐘を撞くと穏やかな音が遠くまで響きます。鹿野園(ろくやえん)と華林園には鐘楼が設けてあり、参拝者が真摯な心で願い、慈悲心と清(しょう)浄(じょう)心を持って鐘を撞くと、鐘の響きを聞いた人々の自性の知恵と光明を教え示したり、心の安定や平和を得させてくれます。
仏教文物は仏法が継承されてきた歴史の証です。惟覚安公老和尚が霊泉寺で布教を始めて以来、30年にわたり信徒や檀家から多くの仏教文物が寄進されてきましたが、それらを収蔵、展示し、人々に仏教芸術に対する理解を深め心を浄化してもらおうと、中台世界博物館の建設に着手し、2016年に完成させました。
高くそびえ立つ博物館の外観はまるで長安の古城のようで、長く連なった四つの殿堂と六つの塔は唐代の雰囲気を漂わせています。合計18の展示室があり、一世紀から近代までの仏像や造仏碑、歴代の書画や碑林(ひりん)の拓本が展示されています。
木彫分館は中台禅寺境内の東北に位置し、唐代から明清代までの木像の仏像が展示されています。千年の時を経た文物と豊富な経典類も併せて展示されており、仏教の歴史を検証するとともに、見る人に中華文明と仏教芸術の深大さを余すところなく伝えています。
中台世界博物館は仏教文物の保存や展示、研究を通して、歴史文化や芸術、教育的側面などの価値が再認識できる所です。ここを訪れた人は智慧と信心が芽生え、心が豊かで清浄なものになることでしょう。