十六階は万仏殿で、殿堂の周囲には手造りの銅製薬師仏が一万尊余り嵌められています。中央に伝統的な木組みの建築法で造られた薬師七重仏塔があります。塔の中には薬師仏が七尊奉ってあり、内壁には天寧寺拓本の線刻みの五百羅漢聖像、外壁には《金剛経》の経文が刻まれています。技巧を凝らした塔には仏、法、僧の三(さん)宝(ぼう)が具わり、所々に仏教の教化を体現しています。万仏殿の両側には見学者が外からも荘厳な薬師仏塔が見られるように枠のない大きなガラス張りの構造が採用されました。そのガラスは蓮の花びらの形をしており、芸術と科学技術の融合により作り出されたもので、強風や地震の際、前後43.9 センチまでの揺れにも耐えられる設計となっています。日暮れ時、塔内から放出される明灯はあたかも浮き世にいる人々の心を本来あるべき姿に導いているかのようです。
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